産業用レンズ Printing-NIKKOR 105mm f/2.8A

特定のマクロ界隈ではその高性能さから高い人気を誇る Printing-NIKKORの105mm f/2.8Aを入手できたので紹介。

Printing-NIKKORとは?

元々映画フィルムの編集装置上で使われたレンズ。いわゆる産業用レンズ。色収差を徹底的に除去、基準倍率での歪曲収差 0.0%というなんかものすごいレンズである。殆どのレンズに低分散ガラスを使用しているらしい。その性能の高さからラインセンサ用の高性能レンズとして、Rayfactブランドでも扱われているとのこと。


Printing-NIKKORは等倍の105mm f/2.8と0.5倍(逆付け2倍)の95mm f/2.8がネット上でもよく記事にされている。Rayfactでは105mmがOFM10090MN、95mmがOFM20119MNが対応するもののようだ。鏡胴の掘り込みも「Nikon Rayfact」に代わっているが、諸性能は同じらしい。

なお、Printing-NIKKOR自体も前期モデル、後期モデルがあるようで、末尾にAとかNがついているものが後期モデルのようだ。前期モデルはレンズ構成や鏡胴径が異なるため注意。

そんなレンズなんで買ったん...?と思うかもしれないが、レンズ名がなんかカワイイ。ニーニーに並ぶレンズ名の可愛さである。pretty-NIKKORである。産業用なんて特殊レンズ、レンズ沼だろと思われるかもしれないが、NIKKORと書いてあるのでセーフである。Rayfactと書いてあったら言い逃れできなかったかもしれない。

...あとはフィルムデジタイズで将来的には使っていきたいなと。本来の用途においては最強性能だと思うので。

というわけでこちらがPrinting-NIKKOR 105mm f/2.8A。なんと箱と検査証明書付きである。すごい。さらにシリアル番号的には後期に製造されたロットのようで状態も良い。


絞り羽根は12枚あり、どの絞り状態でもキレイな形状である。0.5段ステップで絞ることができる。



マウントの方法

流石に産業用レンズとあって、カメラにマウントするまでが大変である。このレンズのマウントはM45(P=0.75)ネジ。これを変換して、マウントしていく。

流石に有名レンズだけあって先人の知恵が豊富である。主な変換方法は2通りある。どちらの方法でも接写リングK5を2つ使うので、ヤフオクなりメルカリなりで2セット調達しておく必要がある。BR-2Aはこの記事書いている時点ではヨドバシでも売っている。

接写リングK。K1,K3は使わない。複数セット用意しよう。


① 接写リングK2を使う方法

必要なもの

  • M45(P=0.75) メス - M52(P=0.75) オス 変換リング
  • 接写リングK4 1つ
  • 接写リングK5 2つ
  • 接写リングK2 1つ

メス-オス変換リングがあれば、接写リングKを順付けして最後にK2リングをつければFマウント化することができる。


組み立てるとこんな感じだ。

メリットとしては、変換リングが外見から見えないため、見た目オールニコンな感じにすることができる点と、接写リングKが順付けすることができる点だろう。


②BR-2Aリングを使う方法

必要なもの

  • M45(P=0.75) メス - M52(P=0.75) メス 変換リング
  • 接写リングK5 2つ
  • BR-2Aリング

メス-メス変換リングを使う場合、①の方法とはネジのオスメス関係が逆転することになるので、Fマウント化にはBR-2Aを使う。


組み立てるとこんな感じだ。

こちらのメリットは変換リングがK4リングよりも長さが短い場合は、マウントまでの長さが短くなり、より引きで撮影することが可能になる。ただし、Kリングは逆向きに印字されることになる。

いづれにしても、変換リングの入手が一番優先


ピント合わせの方法

このレンズは絞りこそあれどピント調節はできない。直接カメラにマウントすると、画角固定になるため、ピント調整(=撮影倍率調整)するためにはベローズが必要になる。ベローズPB-6であれば、ヤフオクやメルカリなどでも比較的入手しやすい。

ベローズPB-6を取り付けるとピント調整もできるし、倍率拡大もできるのでオススメ。無限遠側のピントが出ないデメリットがあるが、そもそも上記の取り付け方法では直付けでも無限遠でないし、マクロ目的の用途なのでそこまで問題ではない。

ベローズにD850と取り付けるとこんな感じになる。なんかカッコイイ。D850をベローズPB-6にマウントする場合は、最初縦向きでマウントにしてから、横にする。ベローズのカメラ側に縦横切り替える機構がついているのでそれを使おう。アゴ付きのカメラの場合はPK-13が必要になるかも。



FE2につけると統一感あるデザインでいい感じである。フィルムはちょっともったいないので撮影することはないだろうが...


撮影

ピント調節がメチャクチャシビアである。立体物のもの撮りならフォーカスシフト撮影のテクニックがあるといいかもしれない。口径蝕はf/4で0になる。ただし等倍撮影時の実効絞りは開放でもf/5.5とのこと(5.6ではないんだ...)。絞りf/4で実効値約f/8になることから必然的にスローシャッターになる。風のない室内で固定撮影が適している。

写りは凄まじい。何となく撮った100円玉だが、等倍拡大でキズ1本1本が区別できる解像度を持っている。やはりフィルムデジタイズが一般人的な用途としては最良なのかもしれない。

Printing-NIKKORは逆付けできるように前にも同じネジピッチのマウントが用意されている。こちらに同様にM52変換をつければ、フィルムデジタイズアダプターES-2を直接取り付けることができる。(等倍調整は同様に接写リングKを使って調整する必要がある)
そのうちこちらで強いフィルムデジタイズをやってみたいものだ。



空箱を漁るにゃんぷっぷー






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